ChatGPT Atlas がリリースされた時
「自然言語でブラウザ操作できるなら、E2Eテストがかなり楽になるのでは?」
そう思っていました。
Playwright のような E2E テストフレームワークはまだプロダクトに入れておらず、
Atlas でE2Eテストは実現できるのか?
というところから検証を始めました。
最初に試した方法は単純に、「ログインしてダッシュボードが表示されることを確認して」のようなざっくりとした指示を Atlas に出す方法です。
「うまくはいかないだろう」とは思っていましたが、やはり期待した通りには動きませんでした。
※ 動いたことには感動しました。
そこで次に試したのが、playwright codegen のログを ChatGPT に渡して自然言語の手順に書き起こしてもらい、 そのまま Atlas に流す、という方法です。
「ChatGPT が整形してくれたので、手順としては十分だろう」 正直そんな期待をしていました。
が、結論としてこれはあまりうまくいきませんでした。
この記事では、
- なぜ ChatGPT に整形してもらった自然言語手順でも Atlas は安定しなかったのか
- 逆にどのレベルまで書けば、Atlas がそれなりに動くようになったのか
といった点をまとめます。
背景:E2Eテストの“面倒な部分”を機械化したかった
Playwright でテストコードをゼロから書こうとしたのですが、以下のポイントでつまづきました。
- セレクタやロールの管理が大変
- ページ遷移や非同期周りの待ちを考慮しなければならない
- UIが変わるとテストも壊れやすい
- 「何を検証したいのか」と「どう実装するか」を両方考える必要がある
そこで、Atlas のように自然言語で操作できる仕組みが使えれば、
実装の負担をかなり減らせるのでは?
という期待をしていました。
ただ、テスト仕様書をいきなり書くのも大変なので、
“codegen のログ → 生成したプロンプト”
を最短ルートとして使えないか? というところから始めました。
アプローチ:codegen → ChatGPTでプロンプト化 → Atlasに渡す
手順は次の通りです。
npx playwright codegen https://example.com/を実行- ログイン~画面遷移のシナリオを手動で操作
- 生成された Playwright コードを ChatGPT に渡す
- 「playwright codegenで生成されたコードをAtlas Agent用プロンプトに変換してください。」と依頼
- ChatGPT が生成したプロンプトを Atlas にそのまま渡す
ざっくりですが ChatGPT が生成した手順は以下のような感じでした。
Step 01: ログイン画面表示 baseUrl にアクセスする。 ログインフォームの2項目 ID 入力欄 に id を入力 パスワード入力欄に password を入力 ボタン(role=button, name=ログイン)をクリック。 画面に 「認証しています」 などの進捗表示が出た場合は、それが消える/遷移が完了するまで待機。 Screenshot: Step_01_Login.png 検証: ログイン後のトップ/ダッシュボードが表示されること。
動作や検証ポイントなどがそれなりに明示されていて、一見すると問題なく見え、正直期待をしてました。
実際には、この手順を Atlas に渡しても安定して動作しませんでした。
前提条件が曖昧で、テストの開始地点がずれる
ChatGPT が作成した手順はあくまで「操作の順番」を文章化しただけのため、
- 既にログインしている状態
- セッション情報を反映した画面の状態
- すでに1度動かしてデータが登録されている状態
といったケースを考慮していません。
加えて、どの要素を具体的に操作対象とすべきか、何をもってテストの成功とみなすのかといった情報も、この手順の中には含まれていませんでした。
前提が書かれていないと、Atlas が正しい判断ができず、指示を意訳して操作しようとします。 いつまでも試行を続けてしまうこともあります。
codegen → ChatGPT での整形では“仕様書レベルの情報”が足りなかった
ここまで試して分かったのは、
ChatGPT が codegen のコードを綺麗に文章化しても
Atlas が必要とするレベルには情報が足りていない
ということです。
では、どう書けば安定したのか
結局、以下のような構造までプロンプトを整えると Atlas の動きが大きく改善しました。
(抽象例)
あなたは **E2Eテスト自動化エージェント** です。
以下の要件に従って、指定URLにアクセスし、ブラウザ操作によるE2Eテストを実施してください。
## 注意点
- 指示していない情報で操作しないでください
- 失敗したら操作を停止してください
- 全ての画面においてスクリーンショットを取得し、最後に提示してください。
## 接続情報
- **URL:** https://example.com/
- ログイン情報
- ID: xxxxx
- パスワード: xxxxx
## テストシナリオ
- [ ] https://example.com/ にアクセス
- [ ] もしログイン状態であれば、ログアウトしてください。
- [ ] ログインテスト
- [ ] 無効な認証情報でエラーメッセージが表示されることを確認
- [ ] IDとパスワードを入力してログインできることを確認
- [ ] ログイン後、ユーザー名が表示されることを確認
ポイントは、
- 操作対象の特定方法を明確にする
- もし~の場合の動作を書く
- 曖昧な表現を排除する
- 「操作」と「確認」を分離する
といった、仕様書とほぼ同じ粒度で書くことでした。
ChatGPT Atlas での E2E テストを検証してわかったこと
一言でいうと、
AI は「よしなに」はやってくれない。
ということでした。
プロダクトを初めて触る人でも迷わず操作できるくらいの粒度で
テスト仕様書を書いてあげると、その通りに忠実に動いてくれる。
逆にいうと、そのレベルまで仕様を書き下ろさないと安定しない、ということでもあります。
まとめ
今回の検証で分かったことをまとめると、
- playwright codegen のコードを ChatGPT に整形してもらうだけでは テスト仕様としては情報不足だった
- 情報が不足していると Atlas は迷子になりやすい
- 「自然言語で書けるから楽になる」というよりは、 仕様書を書く力がそのまま求められる
総じて、 ChatGPT Atlas で楽にはならないものの、E2Eテストの新しい形を模索する価値は十分にある というのが現時点での手応えです。
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